藤原伊織氏の1995年に江戸川乱歩賞、直木賞のW受賞作品「テロリストのパラソル」 の前、1985年、37歳のデビュー作“すばる文学賞”を受賞した「ダックスフントのワープ」も読んでみました! 物語は徹底したニヒリズムがあって、アンハッピーエンド・・・個人的には面白くありませんでした・・・(^^;
「武曲」の著者の藤沢周氏が解説を書かれていて、スゴイ人ダと言われていましたねぇ・・・(^^;
藤原氏は東大出身でやはり頭がイイわけですが、個人的には、それがちょっと?“頭いいんだぞ”みたいに鼻に突くのですよねぇ~(笑)
これで藤原氏の本を読むのは最後になると思いますが、その鼻に突くところを中心に、自らの向学にもなりますので、書き記しておきたいと思います。
「ゲシュタルト崩壊」
まとまったものがバラバラになっていく感覚のことをいいます。心理学用語の一つです。
ゲシュタルト崩壊の“ゲシュタルト”とは「形態・姿」を意味する言葉です。
ゲシュタルトはドイツ語で「Gestalt」です。英語でも同じく「Gestalt」と綴ります。
“全体性が失われ、各部分に分かれた状態で脳が認識してしまう現象”のことです。
「概念の転換」
新しい理論を受容し古い理論を放棄すること。
“パラダイムシフト”とも言います。科学者集団に共有されているパラダイムが、ある時点で革命的・非連続的に変化すること。思考や概念、規範や価値観が枠組みごと移り変わること。
パラダイム(Paradigm)とは、ある時代に支配的な物の考え方・認識の枠組み。規範。
「矛盾は真理を見分けるのに、都合が悪い標識である」(パスカル)
正しいことで矛盾していることもある。まちがったことで矛盾なしに通ることもある。
だから、矛盾は、真理を見つけるときに邪魔になる。
パスカル(フランス人、1623年〜1662年。享年39歳)の有名な言葉は「考える葦」だと思います。著書「パンセ」の中の言葉。「人間は自然のうちで最も弱い葦の一茎にすぎない。だが、それは考える葦である」として、自然において脆弱だが思考する存在としての人間の本質を表現したものだそうです。
「歴史哲学(philosophy of history)」
歴史学のあり方、目的などについて考察を加える哲学の一分野である。
歴史哲学において、“歴史”には過去の事実と過去の叙述という二重の意味がある。しかしながら、認知されない事実、及び、誤って認知される過去の事実も存在するならば、事実と叙述の乖離が認められる。
歴史は事実それ自体が一回性の事実の連なりであるために、歴史の叙述において史料類の学術的な解釈と抽出、そして、分析と総合を通じて、重要性や影響などが特徴づけられることが必要であり、これが行われて初めて歴史として叙述さられる性質を有することとなる。 しかし、この過程において何を価値基準と設定するのかによって叙述された歴史は同じ史料を基礎としても全く異なる叙述となり得る。このことから、どのような価値基準を拠り所にするべきか、またその基準は果たして普遍的な妥当性を持つのか、という二つの大きな課題が出現する。歴史哲学はこれについての考察に関わる哲学の領域である。
※「叙述」 には、順を追って書くという意味があり、 「記述」 は、物事を正確に客観的に書きしるすという意味があります。
『歴史哲学』 ヘーゲル
世界史は自由の意識、自由の精神の発展と、この意識によって産み出される自由の実現の過程とを叙述する。
さて、本書は、次の4つの物語でできています。
・ダックスフントのワープ、最後にダックスフントは死んでしまいます・・・
・ネズミ焼きの贈りもの、最後に殺人を犯してしまいます・・・
・ノエル、両親がスイングパーティー(夫婦交換)で産まれた、異父兄弟の物語・・・
・ユーレイ、父親に撲殺された少女がユーレイになって現れる物語・・・
どの物語も徹底したニヒリズムがあって、アンハッピーエンドでした・・・
ニヒリズムとは、虚無主義(英: Nihilism、独: Nihilismus)とも言われ、今生きている世界、特に過去および現在における人間の存在には意義、目的、理解できるような真理、本質的な価値などが無いと主張する哲学的な立場である。名称はラテン語: nihil(無)に由来する。
あと「ダックスフントのワープ」は1989年11月にドラマ化もされていましたね。その解説では、“恋人に愛想をつかされ、大人になりきれない青年が目の当たりにした上流階級の家庭崩壊”とありましたネ。
そして、藤沢 周氏は語ります。
作家とは「美しい夢」が「冷たい現実のために打ち砕かれ」ても、無表情でいる。
読みやすいので読んじゃうことはできましたが、あまり面白くはありませんでした。
藤原氏の本はもういいかな・・・ (;^_^A
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