1993年の稲見一良(いなみいつら)氏のハードボイルド小説「セント・メリーのリボン」。2006年に復刻した!読んでみました~!稲見氏自身は1994年、闘病生活の末に死去。享年63歳でした・・・
稲見 一良(いなみ いつら、1931年1月1日 - 1994年2月24日)は、日本の小説家、放送作家。大阪府大阪市出身。
記録映画のマネージメントを務める傍ら、1968年文芸誌の新人賞に入選、しかし多忙のため作家活動に専念しなかった。
1985年肝臓癌の手術を受けるが全摘ができないと分かると、生きた証として小説家活動に打ち込むと周囲に宣言し、1989年『ダブルオー・バック』にて本格的に小説家デビュー。1991年『ダック・コール』にて数々の賞を受賞し期待されるも、1994年10年に渡る闘病生活の末、死去。享年63。
作品は自身の趣味であった猟銃の知識を生かしたハードボイルドな推理小説で、少年の視点・目線やニヒリズムを取り入れたものであった。
稲見一良氏は、男たちの物語をこよなく愛した人だった。西部劇や冒険小説に登場する銃器にこだわったり、偽りの多い人間の語る物語を許さない、生一本なところのある作家だった。だから、こよなく愛した自然とのふれあいを描くとき、生き生きと筆は走り、この上ない幸せに浸っているように感じられた。稲見の小説の正しい読み方は、大自然の中で読むことである。焚火の周りで、生のままのウイスキーを呷りながら読むといいだろう。
実をとる本当の酒飲みなら、飲みたいだけのミニボトルを持参するべきなのだ。それと、稲見一良の小説。それだけで、後は何も要らないはずだ。
さて、本小説は、下記短編小説で構成されています。
・焚火
・花見川の要塞
・麦畑のミッション
・終着駅
・セント・メリーのリボン
「焚火」では、
人が人を好くということは、誰にもどうしようもないことじゃ。避けられんし、逆らえん。人はみな、そのことでよろこびや苦しみや悲しみを背負い込む。あわれというか、かなしいことよな。だけど、人は生きてる限りは、それから逃げられん、と語るカッコイイ老人が出てくる物語でした
「花見川の要塞」は、
昭和20年8月14日、太平洋戦争終戦の「前日」へタイムトリップする物語でした
「麦畑のミッション」は、
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を舞台にした作品。戦勝国イギリスであっても、大変であったことを物語として語られていました。
「終着駅」は。
東京駅で働く赤帽さんにスポットを当てる。
東京駅は、丸の内側の赤レンガ駅舎である。丸の内側の東京駅は、世界に誇る建築物ダ。もともと皇居つまり江戸城に正対して作られたものだから、明治の日本人の思想がバックボーンを貫いている。
一方、八重洲口は単なるコンクリートの塊だ。巨大な容器でしかない。
ということで、現在は八重洲口側の再開発となっていますね・・・いいんだか悪いんだか・・・
そして、「セント・メリーのリボン」では、竜門猟犬探偵社の竜門卓と飼い犬の猟犬で真っ黒なジョーとの物語。今回は、盗まれた盲導犬のラブラドール・レトリーバーのスワニーを捜索する。そこには全盲の16歳の娘ハナを持つ父親がいた。最後に、真っ黒なラブラドール・レトリーバーのセント・メリーにリボンを付けてプレゼントする。粋な物語でした~!
そして、
山のフィリップ・マーローと言われるバーボン「フォア・ローゼズ」が飲んでみたくなる!
それと、同じくバーボンの8年物のワイルドー・ターキーが飲んでみたくなる!
「バーボン」とは、アメリカンウイスキーの一種です。 アメリカで造られるウイスキーはアメリカンウイスキーと総称されています。 そのなかでも、原材料にトウモロコシを半分以上使用したウイスキーがバーボンに分類されます。
ハードボイルド&犬好きには面白い物語でした!!
ありがとうございました!
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