「グリード」真山仁著、上下巻読了後、 物語として面白かったが、「世界金融危機」、通称“リーマンショック”の原因となったキーワード、「サブプライム・ローン」、「CDS」、「CDO」の仕組みをもう少し調べてみた!
この「世界金融危機」のおかげで!?
“金融工学”とつく書籍が少なくなりましたネ~・・・・っていうか、ブックオフでしか見つけられませんでした・・・
以下、ブックオフでゲットして読んでみました。
・「金融工学」は何をしてきたのか 今野浩著 2009年10月初版で、リーマンショックを振り返っていました
・金融大崩壊「アメリカ金融帝国」の終焉 水野和夫著 2008年12月初版で、リーマンショックのことを書かれた書籍でした
・金融工学、こんなに面白い 野口悠紀雄著 2000年9月初版、リーマンショックの影も形もない頃で「金融工学」の火付け役となった1冊
では、「世界金融危機」の原因となったキーワードについて!
「サブプライム/サブプライム・ローン」とは、
「サブプライム」とは、「プライム」に対しての言葉です。「サブプライム」は、「サブプライム・ローン」のことであり、要するに一般の人が家を購入する際に借りる「住宅ローン」のことです。
それを米国では、「所得の低い人向けの住宅ローン」を「十分に所得のある人向けの住宅ローン」と区別して「サブプライム・ローン」と呼んでいるのです。
当然、「十分に所得のある人向けの住宅ローン」は「プライム・ローン」となります。実は、米国の一般的な住宅ローンの分類では、「サブプライム・ローン」と「プライム・ローン」の中間に「Alt-A」というカテゴリーがあります。したがって、米国の「住宅ローン」の分類は信用力の高い順に「プライム」、「Alt-A」、「サブプライム」ということになります。
米国の「住宅ローン」の残高は、「プライム」が最も多く6兆9,000万ドル、「Alt-A」と「サブプライム」はそれぞれ1兆1,000万ドル、1兆5,000万ドルといったところです。住宅ローン全体で9兆5,000万ドル、日本円にして約1,000兆円規模となります。
2000年ごろから住宅価格が上昇するにつれて「サブプライム」の利用者が増え、それまでは住宅ローン市場全体の10%以下だったのが、06年から07年にかけては13〜15%を占めるまでに成長した。
成長した理由として
サブプライム・ローンも借りやすくした。
最初の2年は元本の返済が不要。しかも、金利も低めに設定されていた。
最初の2年が過ぎると返済額は上がりますが、その頃には住宅価格も上がっており、住宅を担保に不動産担保融資を受ければ、埋め合わせが可能になります。
もし払えそうになくなった場合、購入した住宅を転売すればよいのです。
また、数年間、延滞しないでローンを返していると、個人の格付けが上昇し、金利が高いそれまでのサブプライム・ローンではなく、ランクアップした「Alt-A」などに切り替えることができ、その分、金利は低く抑えられます。
こうして、2004年頃から急増したサブプライム・ローンは、新規に契約された住宅ローンのなかで2割を占めるようになりました。それまでは1割弱でした。
すべての前提は、住宅価格が上がり続けることでした。
しかし、2006年秋になった住宅価格は下降を始めます。
次にサブプライム・ローンを集めて債券化したものが、サブプライム・ローンのモーゲージ債(抵当権付債券)と言います
日本で言うところと、「住宅債券」(通称、つみたてくん、スマイル債)のようなもので、将来住宅購入を検討している人が頭金等の積立に利用し、積み立てられたお金は、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が今住宅購入する人への住宅ローン用資金として貸し出しする。
まあ、理にかなった仕組みですが、米国では、所得によって、そのローン金利が異なることには驚きですね。
それだけ、『所得格差がある』、ということだと思います。
日本も従来の修正資本主義ではなく、資本主義化がますます進めば、米国と同様に所得によって、ローン金利が異なってくるのでしょう・・・ざんねんです・・・
CDOとは
CDOは、"Collateralized Debt Obligation"の略で、日本語では「債務担保証券」といいます。
これは、サブプライム・ローンのモーゲージ債を含む貸付債権(ローン)や債券(公社債)などから構成される金銭債権を担保として発行される「証券化商品」を指します。
1980年代に米国で初めて債務担保証券(CDO)が発行され、その後、欧州や日本などでも発行されて市場が拡大し、2000年代には金融機関や機関投資家などの運用対象として世界的に人気となりました。
とくに銀行がこのビジネスに飛びついた理由は、1990年代に導入された「BIS規制」である。
国際業務を行う銀行は、8%以上の自己資本を持つことを義務づける規制だが、住宅ローン貸出分はリスク資産とみなされるので、これが多いと自己資本比率が小さくなってしまう。一方、証券化してこの債権を売却すれば、自己資本比率が大きくなる。この意味からも、できるだけ多くの住宅ローン債権を証券化して売った方が得であった。(金融工学は何をしてきたのかP148)
サブプライム・ローン債を含め、異なる債権で組成しているので、ポートフォリオ効果はある。
また、過去に、全米の不動産が一挙に暴落したことはない、という理由で、格付け機関から高い評価も得た。(グリード 上P92)
一方、この種の商品のリスクを計算するのは難しい。金融エンジニアが、「リスク構造がよくわからない商品の価格付けは難しい」と言ったところで、入り口をかじっただけで、金融工学を理解したつもりになっているMBA経営者は耳を貸さない。最期まで「できません」と言ったらクビになる。だからできないことを承知で適当にやる。
格付け会社も全く同じ構造である。
証券化商品の格付けはとても難しい。これらを組み合わせた合成証券の格付けは、難しいの三乗である。しかし「できない」と言ったらクビになる。だから無理を承知で適当にやる。(金融工学は何をしてきたのかP98)
また、格付けは「半分“アート”(主観)であり、半分“サイエンス”(客観)である」とも言われていた。(金融工学はなにをしてきたのかP!49)
しかしながら、2007-2009年に米国で起ったサブプライム・ローン問題により、担保となっていたローンが数多く破綻したため、高格付けとして運用されていたCDOも毀損し、世界中の多くの投資家が巨額の損失を計上する結果となりました。
CDOという、複雑な証券にしてしまったために、潜在的なリスクがみえにくくなってしまった(グリード 上P91)
これを契機に、CDOの担保となっていた資産の不透明さや流動性の低さなどのリスクが改めて認識されることになった。
CDSとは
「CDS」とは、英語表記「Credit default swap」の略、「クレジット・デフォルト・スワップ」のこと。
企業や国などの破綻リスクを売買するデリバティブ(金融派生商品)で、投資対象の破綻に備えた保険の“機能”を持ちます。
CDSの買い手は売り手に一定の手数料を支払う一方、投資先がデフォルト(債務不履行)となった場合には売り手が損失を肩代わりし「保険金」を支払います。
最初は、1997年にJPモルガン・チェース銀行によって考案された。
CDSとは、貸し倒れリスクを回避するためにかける保険のような金融商品(グリード 上P24)
プレミアムも安いし、掛け捨ての自動車保険と思えばよい(グリード 上P28)
買い手はモーゲージ債を保有している当事者に必ずしもならない。
また、CDSの期間は基本的に1年、最大で5年程度のようです。保険期間内にサブプライム・ローン債が破綻しない限り、掛け捨てとなる。(グリード 上P31)
2008年9月に米リーマン・ブラザーズが破綻した際には、大量のCDSの売り手だった米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が経営危機に陥り、米政府が救済した。
ちなみに、AIGがCDSを開発して売り出したのが、2005年の年明け頃とのこと。(※)
(グリード 上P28、p323)
グリード、強欲さが招いた悲劇・・
一方で、このような商品、とくにCDSは、どのようにプライシングしたのか!?
次は、この辺りを調べてみたいと思います。
ありがとうございました!!!
m(_ _)m
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