「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ著)、2021年の本屋大賞受賞作品もあって、ミーハー的に手に取りましたが、作品名からこころが動いたのも事実です!とても良かったです!
「52ヘルツのクジラたち」とは、「親から虐待を受けて心を閉ざした子どもたち」でした。
その気持ちをとてもよく描かれているナ、と感じて、著者ご自身もそのような経験があったのかナ、と少し調べてみましたが、
町田そのこさんは、1980年3月9日生まれ、読書好きの母親の影響で、とっても本好き!お仕事に関しては紆余曲折があったようですが、ご結婚、ご出産もされており、どちらかと言えば、“普通の主婦”が作家になられている感じでした!!(笑)
“52ヘルツのくじら”とは、非常に珍しい52ヘルツの周波数で鳴く。この鯨ともっとも似た回遊パターンをもつシロナガスクジラやナガスクジラと比べて、52ヘルツは遥かに高い周波数である。この鯨はおそらくこの周波数で鳴く世界で唯一の個体であり、その鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出されてきた。この鯨が生存しており、おそらく成熟していることからして、この鯨はおそらく健康である。にもかかわらず、その独特な呼び声に類するものは他になく、その源はたったひとりである。それゆえに、この個体は「世界でもっとも孤独な鯨」とされる。
♡主な登場人物♡
三島貴瑚(みはらきこ)、この物語の主人公で、通称キナコ。親が再婚同士で、実の母親、義理の父親、双方から虐待を受けて育った
品城愛(しなぎいとし)、通称52。実の母親から「ムシ」と呼ばれて虐待されてきた
岡田安吾(おかだあんご)、通称、アンさん。本名は岡田杏子で、生れは女性でしたが、トランスジェンダーで男性となって生きてきた。キナコが虐待の生活に疲れ切り、死のうとしていたときに救ってくれた命の恩人
牧岡美晴(みはる)、貴瑚の親友であり、貴瑚と同じく親が再婚同士ということで、冷遇を受けたが、奨学金を得て短大に進み普通のOLになった。そして、同僚であったアンさんとキナコが出会うきっかけにもなった
村中真帆(むらなかまほろ)、れっきとした男子!
全てを切り捨てて、九州、大分県の小さな海辺の街に来た貴瑚に好意を持つ
新名主税(しいなちから)、貴瑚が親の虐待から逃れたあとに、初めての恋人となるが、祖父、父と続く企業の御曹司であり、結局、貴瑚を愛人とし、暴力も振るう、とんでもない男
アンさんは、貴瑚を新名から守ろうとしたが、新名の攻撃を受けて、最期は自らの命を絶った。
それがきっかけとなり、貴瑚は新名を包丁で刺そうとするが、弾みで自分を刺してしまう・・・
品城琴美(しなぎことみ)、52の実母。とても甘やかされて育ったために、自分の不幸は52のせいだとして虐待をしてきた。
真帆の祖母は言う「ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも、貰ってばかりじゃいかんのよ。親になれば、尚のこと。でも琴美にはその理が分かっとらんし、もう無理かもしれんねえ」と
キナコと52が、周りの人たちに助けられながらも力強く再生していく物語でした!
「ひとには魂の番(つがい)がいるんだって。愛を注ぎ注がれるような、たったひとりの魂の番のような人。いつか必ず現れると・・・」
そして、文庫版のカバー裏に描き下ろし掌編が印刷されていました!
真帆が、キナコに好意を示しているが、「いまは自律に専念したい」と遠回しにフラれた状態。
それでも、後輩のケンタには
「女の子の表面ばかりを見てちゃだめなんだぞ。笑顔の下で何を考えているかってことを想像するんだ。例えば一緒にいるとき、楽しいのは自分だけじゃないのか、気を遣わせていないか、と俯瞰で見ることが大事なんだ。男女交際ってのは、奥が深いんだよ」と
そして、美晴が大分に来てくれるおかげで、みんなで食事に行こうと誘ってくれて、キナコと食事ができることに喜んでいる真帆であったのでした(笑)
ありがとうございました~!
m(_ _)m
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