「じい散歩」 藤野千夜(ふじの・ちや)著「夫婦あわせてもうすぐ180歳、三人の息子は、全員独身」朝日新聞の本書広告を読んだ母親が「読みたい!」ということで購入~、渡す前に読んじゃいました。ノンフィクションかと思いましたが、藤野氏は芥川賞作家であり、物語でした~!
朝日新聞での本書の広告は、「夫婦あわせてもうすぐ180歳、中年となった3人の息子たちは、全員独身。長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男は恋人が男性の自称・長女。三男はグラビアアイドル撮影会を主催しては赤字で、親に無心ばかり。そんな一家の日常をユーモラスに、温かな眼差しで描く・・・」
とあると、とくに高齢者の方は、読みたくなるように思いました。
当年83歳の母親も“読みたい!”ということで、購入したのですが、いやいやなかなか登場人物が多くて驚きました・・・
これ、高齢者の方は登場人物を覚えながら、読めるのかしらと・・・
自分自身もメモをしながら、読みました。(^^;
主人公は、大正生まれの「明石 新平 89歳」、「妻の英子 88歳」
この高齢老夫婦には、三人の息子がいて、
長男 孝史(昭和37年生まれ)、引きこもり
次男 健二(昭和39年生まれ)、おかま
三男 雄三(昭和42年生まれ)、体重100キロ超で借金まみれ
そして、新平には男5人、女4人の兄弟がいます。
物語の中では。4人の名前がでてきます。
「定吉」、新平の5歳年下の弟
「しげる」、郷里に住む弟
「さとえ」、新平のすぐ下の妹
「はるえ」、新平の末の妹
英子にも、姉妹がいます。
「ひい姉」、英子と10歳以上離れた姉
「すみれ姉」、英子とちょうど10歳違いの姉、
そのすみれ姉の娘が器量よしの「さなえ」(昭和30年生まれ)で、新平、英子の姪になります。
新平の友だちで、高齢となってからはエロ映画などを一緒に楽しむ仲間
「中本」、電気職人
「並木」、大工
「小嶋」、自動車屋
ほかに、英子が動物好きと言うことで、雑種犬の「ちいこ」、だるまインコの「たーちゃん」など。
途中途中で、名前だけ出てくると、この人誰だっけ、となりますよね・・・(笑)
いろいろな問題を抱えながらも、笑いを忘れずに生きていく”時の流れ”を、穏やかな感じに描いている“風景”のような物語でした。
そこで、物語の“内容”というより、「解説」から一部書き留めておきたいと思います。
歳を重ねても悩みは尽きないし、心配事も容赦なく降り注いでくる。
むしろ、若い頃より悩みの質は深刻度を増している。
介護、病気、不調、疲労、金欠、孤独・・・・
かような現象を目のあたりにするたび、悟りなどというものは、生きている限り開けることはないのだろうと、考えを改めないわけにはいかなくなった。
人生は穏やかでも華やかでもない。
それでも生きている限り日々は続いていく。
たぶん自らの生きているこの世界を、現実を、味わうために。
おそらく人生は、すかっと美しくかっこよく送れるようにはできていない。
歩んできたあとには、後悔だの失敗だの恥だの消沈だのの残滓が、これでもかと落ちている。
本書に棲む人びとと共に時を過ごすと、
自分も今まで通り、この世界にいてイイんだな、と安心する。
失敗続きで課題満載の人生を、静かに肯定してくれるようなやさしさと強さが、至るところに散りばめられている。
シビアな現実につきあたり、立ち止まってしまったら、美味しい饅頭をお供に、新平の散歩に付き合えばいい。きっと再び、目の前の景色は息を吹き返し、鮮やかな彩りを取り戻すだろう。
ありがとうございました~!
m(_ _)m
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