アクチュアリー試験でときどき出題される「生命保険会社の保険計理人の実務基準」より、『税効果会計』に関連する記載があります。そこで、少々!?忘れてしまっていた『税効果会計』を復習しました~(^^;
「生命保険会社の保険計理人の実務基準」より
第24条(当年度末アセット・シェアの確認)抜粋
(☆)当年度末アセット・シェア=前年度末アセット・シェア+保険料+資産運用関係収益±評価差額金(税効果控除前)増減額-支払保険金など-事業費-税金-支払配当金±法人税等調整額±全社区分調整額
ここに“税効果会計”に関することばとして「評価差額金(税効果控除前)増減額」、「法人税等調整額」があります。これの意味するところは何なのか!?
『税効果会計』の復習~!
税効果会計とは、税金を“費用”としてとらえ、これを各会計期間に適正に期間配分して“当期純利益”を正しく表す会計手続きです。
“会計”の目的は、適正な期間損益の算定
“税務”の目的は、実質課税や課税の公平
よって、“当期純利益”は、一会計期間に企業が獲得した収益力を正しく示すものでなければなりません。
しかし、税引前当期純利益から控除する“税金”は「法人税法」の規定によって求めた税額となり、当期純利益を正しく表示できません。
当期の法人税として、それがどの期に発生したかには関わりなく“費用”として計上されてしまうためです。そこで、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させる会計手続き(税効果会計)が必要となります。
例1、生命保険会社では時価評価が一般的となってきていますが、税法では、その他有価証券は時価評価をしません。実現益ではないからと思いますが、評価益が出ていれば、
税引前当期純利益>課税所得となり、法人税等の未払分として実現益となるまで、貸借対照表の負債の部に「繰延税金負債」を計上します。
※その他有価証券評価差額金は資本勘定であり税効果相当額を控除した額を計上しているため、損益計算書の対応(法人税等調整額)は不要になります
例2、貸倒損失等を計上した場合、会計と税法では損金に限度額があるため、税引前当期純利益<課税所得となり、法人税等の前払が生じる場合があります。この場合は、貸借対照表の資産の部に「繰延税金資産」を計上し、「法人税等調整額」でバランスをさせて、法人税等を適正に期間配分していくことになります。
「生命保険会社の保険計理人の実務基準」より
第23条(アセット・シェアと代表契約の選定)抜粋
保険計理人は最終精算として消滅時配当を支払う契約については、代表契約を選定し、第24条および第25条の規定に従い、アセット・シェアに基づき配当を確認しなければならない。
アセット・シェア方式とは、「代表契約の設定などにより、会社の資産の時価に対する保険契約の貢献度(アセット・シェア)を評価する手法」である。
そこで、アセット・シェアは時価評価による貢献度となるため、アセット・シェアの式(☆)では、
上記例1であれば、実際に時価評価した年で精算されるべきとして、評価差額金(税効果控除前)増減額で戻し、
例2であれば、法人税を実際に支払っている以上は、それに合わせておくということで、法人税等調整額が支払ったものとして調整しているのだと思います。
以上です。m(_ _)m
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