経世家(世を治める、優れた手腕の持ち主。政治家)というよりも、財政経済にしか能がないと自ら言われている高橋是清著「随想録」、上塚司編 を読んで
上塚 司(1890年(明治23年)5月1日 - 1978年10月22日、享年88歳)、是清の秘書官を務めていたが、衆議院議員としても7回当選を果たしている
高橋 是清(1854年9月19日 - 1936年〈昭和11年〉2月26日、享年81歳)
軍事予算を抑制しようとしたことが軍部の恨みを買い、二・二六事件において、赤坂の自宅二階で反乱軍の青年将校らに胸を6発銃撃され、暗殺された。享年81。
是清が懇意にしていた友人
原敬(P26)
牧野伸顕(P26)
斎藤実(P26)
井上馨(P27)
犬養毅(P29)
加藤高明(P29)
田中義一(P29)
→加藤も犬養もどちらも正直な男である(P57)
田中は話せる男だと思った(P55)
山本権兵衛(P30)
大隈重信(P34)
日銀総裁川田小一郎(P65)
安田善次郎(P67)
森有礼(1847-1889、享年41歳)(P88)教育者であったが、強い国粋主義者により刺殺された
松方正義(1835年3月23日- 大正13年〈1924年〉7月2日、享年89歳)政治家よりも財政家として名を残し、高橋是清も財政家としての先輩としてリスペクトされていた
井上準之助氏について(P60)
同訓の前途に多大の望みを嘱していた。
私と同君との意見の相違なぞはなかったので議論などしたことは無かった。
その後浜口内閣が成立する1日2日前だったか、当時葉山の別荘にいた私のところへ井上君が自動車でやって来て、
「浜口君と話し合ってみると、現在の財界の匡正(正しい状態に改め直すこと)するためには緊縮政策によりいじめつけて金解禁をしなければならぬという事に意見が一致したので、大蔵大臣を引き受ける事になった」と届けに来ました。
私はただ聞いただけであったが、別れるときに「国家の前途を考えて自分の信念を貫くためには、君も万難を排して進むつもりであろうが、正しい真っすぐな道を歩くことを忘れてはならない」と言っておきました。
井上君の演説を聞いた人は「如何にも傲岸だ」と言っていましたが、私にはそんなことは無かった。
高橋是清は『日本のケインズ』と呼ばれた。
自らも「経済問題」「財政経済」しか能がないと言われている(P34)
ケインズ(John Maynard Keynes)が(1883年6月5日 – 1946年4月21日、享年62歳)のため、高橋是清の29歳年下になりますが、ケインズは、1923年には『貨幣改革論』を発表した。1925年には当時の保守党政権の大蔵大臣であったウィンストン・チャーチルの金本位制復帰政策に反対して『チャーチル氏の経済的帰結』を発表し、金本位制復帰論争を引き起こした。その後も1926年に『自由放任の終わり』、1930年に『貨幣論』を発表するなど活発な活動を続けた。
『雇用・利子および貨幣の一般理論』は1936年の発表のため、没年である高橋是清は読んでいない。
「残されたことば」
到底独立してゆくことの出来ないものは、仕事を本位とするより外に仕方がないではないか。そして、仕事を本位とする以上、その仕事の性質がどんなであろうとも、ただ一心なって、それを大切に努むるばかりである。こうすれば、どこにも、不平の起こるべき原因が無い。
「決して自分のサラリーと他人のとを比較するようなことをするな」ということだ。
自分の地位と他人の地位とを比較するような愚はせぬことだ。
不平を起こすくらいなら、そこに使われて、サラリーをもらうことを辞めるがよろしい。サラリーマンを廃業して独立しなさい。
けれども、独立ができないくらいならば不平を言わないことだ。
平素からちゃんと準備(学問の基礎を土台として)しておけば、機会が得られた時にまごつくことが無い
見聞を広めなさい。見聞が狭くては、機会を捉えることができない
品性(人格)を高めなさい。人格がなければ、欲の奴隷になるおそれがある。
座して衣食するより働くに如かず
「如かず」とは、及ばない、かなわないの意
人生には二つの道があるように思われる。
ひとつは「人道教」。これは人類の徳性(品性)を涵養(水が自然にしみこむように少しずつ養い育てること)していわゆる道徳を進める道である
もうひとつは「経済教」。これは人類の生活欲(生育の欲)を満足させることが経済教の極致である。
生育がなければそのものは無いのである。生育があって存在するためである。
人間一生の間に自惚れほど人を禍いするものはない。
一度人世の波濤に飛び出すと嫉妬やら猜疑やら、偏見やらいろいろな病魔が横行しておりますから諸君はよく戒慎(かいしん、言動をいましめつつしむこと)して、先ず自分で自分を買いかぶらぬよう、また人から買いかぶられぬよう、平生注意せねばならない。この注意を怠ると遂には己を欺きまた人から欺かれることになるのであるから、自慢は甚だ恐るべきものであります。
ありがとうございました~! m(_ _)m
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