書籍・雑誌

2018年8月 5日 (日)

「図書館の神様」 瀬尾まいこ著 を読んで

瀬尾氏の本は「あと少し、もう少し」に続き2冊目!

瀬尾氏が30歳頃の作品となり、“若い世代の青春”を感じる1冊でした。

 

主人公は二人。

清(キヨ)、高校時代はバレー部キャプテンを務める体育会系女子であったが、叱責した後輩が自殺。それまでは名前の通り“清く正しく(美しく)”成長してきたはずが、後輩の自殺から退部、自宅を離れ地方の私立大学の文学部に入り、そして、地方の高校の国語の非常勤講師になる。そして、大学時代より妻子ある男と不倫もする。

元々は体育会系女子でありながら、高校では部員一人の文芸部の顧問になる。

 

そして、垣内君。一人だけの部員の高三生。垣内君も中学時代はサッカー部、運動神経もいい。なのに、高校一年から文芸部に入部し文学を貪るようになる、ちょっと変わった高校生。

 

そんな二人が高校の図書館を舞台に文芸部の活動をする物語!

 

幾つかの古め?の文学についても語ったりしている。

・川端康成の「抒情歌」で主人公が鼻血を出すこと

・山本周五郎の「さぶ」では、主人公は「さぶ」というよりも、その友人の英二の成長物語だということ

・高校の授業の教材としてあった夏目漱石の「こころ」は、好きじゃないということで、垣内君が薦めた「夢十夜」で授業をしたりすること

※この中で読んだことがあるのは、「こころ」と「夢十夜」だけでした・・・自分も「こころ」は好きじゃありませんね・・・

 

それでも、「きよ」と「垣内君」の二人だけの部活の中で文学を通じて、お互いを高め合う成長物語でした。

 

最後に「きよ」は教員採用試験に合格して新しい高校へ赴任することになる。

「垣内君」も高校を卒業していく。

 

そして、「垣内君」は卒業式の前の文芸部最後の発表の機会で次のことを話す。

「文学なんてみんな好き勝手にやればいい。だけど、すごい面白いんだ! それは言っておきたい。だから、僕は3年間、ずっと夢中だった。毎日、図書室で僕はずっとドキドキしてた。ページを開くたび、文学について言葉を生み出すたび、僕はいつも幸せだった。冬にサイダー飲んだり、夏に詩を書いたり。毎日、文学は僕の五感を刺激しまくった。文学を通せば、何年の前に生きてた人と同じものを見れるんだ!見ず知らずの女の人に恋することだってできる!自分の中のものを切り出してくることだってできる。とにかくそこにいながらにして、大抵のことができてしまう!

のび太はタイムマシンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする。以上です。」

 

そんな二人の神様がいる場所、それが図書館だった。

 

ありがとうございました!

m(_ _)m

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2018年7月21日 (土)

「総会屋錦城」 城山 三郎著 を読んで

本作は、昭和33年下期の第44回直木賞受賞作品。

 

その「総会屋錦城」の表題作ほか

・輸出

・メイド・イン・ジャパン

・浮上

・社長室

・事故専務

・プロペラ機・着陸を待て

という社会小説7編を収めている。

 

読み終えた感想として、人々の心に戦争の“傷跡”を残しながらも終戦後約10年でここまで経済が成長していることに驚かされた。

「総会屋錦城」は、株主総会という資本主義の中枢のからくりを描いたもので、会社の主流あらそいを巡って、株主総会の席上やその裏面で暗躍する総会屋の老ボス“錦城”を主人公としている。

裏金が動きまくる、そんな時代に到達していた。

 

「輸出」では、戦後大成長を遂げた“総合商社”の暗部を露呈している。

今国会で残業規制が厳しくなるようだが、このエコノミックアニマルと呼ばれた時代から比べると、ぬるま湯につかってよいのだろうか、という疑問を感じている。

ずっとずっ~と毎日遅いは問題と思うが、チームで仕事をして一緒に頑張る!時には徹夜もある、という経験は必要なのでは!?もう少し柔軟な制度であるべきと考えている。そうは言っても、今の政治では、仕方がないのか。

 

楽しい!という本ではありませんでしたが、昭和30年代前半の日本経済の“熱”を体感できる一冊でした。

 

ありがとうございました!

m(_ _)m

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2018年6月16日 (土)

「おひとりさまvsひとりの哲学」 山折哲雄 上野千鶴子共著を読んで

山折哲雄氏1931年生まれ。以前、山折氏の「親鸞をよむ」を読んだことがあり、哲学者っぽい方だな、と思っていましたが、宗教学者、評論家とありました。最近の著書に「ひとり達人のススメ」、「ひとりの哲学」があり、上野氏とも親交がある方でした。

仏教徒であり、既婚者であり、ご子息もおられます。

 

上野千鶴子氏1948年生まれ。社会学者であり、フェミニスト(男女同権論者。女性解放論者。女権拡張論者)ですね。上野氏の「おひとりさまの老後」を読んだことがありました。その後も「男おひとりさま道」、「おひとりさまの最期」を書かれており、「おひとりさま」三部作の著者になります。

そして、独身でもあります。

 

そんなお二人による対談でした。

・女は“おひとりさま”で逝けるのか?

・男は“ひとり”で死ねるのか?死にゆくひとはさみしいか?

・そのさみしさはどんなさみしさなのか?

・それを癒すものは、あるのか?

ひとは最終的には一人で死ぬことにはなりますが、ひとに迷惑(手間)をかけずに、さみしさ(Loneliness

なく、孤独(おひとりさま:Solitude)の中で死ぬことができるのか!?

 

この対談を聞く中では、男がダメで、女はできる感じがしましたヨ!!!

男は「ひとりの哲学」で言えば、読んで学ぶまでで、行動が伴っていないとか・・・あっ痛!!

自分自身もひとに迷惑をかけたくはないですが、死ぬときは温もりの中がイイな、と思ってしまいますヨ!

 

本の中でも、「ブルータス、お前もか」ということで、昭和の知性と言われた“加藤周一氏”も最晩年にキリスト教信者となられています。孤独(おひとりさま)は嫌だと、神を信じたことになります。

もちろん奥様も居られて「あの人が、死の直前に入信するなんて」と言われたそうです。

 

日本男児に孤独(おひとりさま)に耐えられる者はなく、ブッダとガンジーだけかもしれない、とも書かれていました。

 

ガンジーもヒンズー教徒ではありますが、インドの思想、「学生期」、「家住期」、「林住期」、そして初めて一個の独立した真の人間になると言われる「遊行期」があり、ガンジーは、この「遊行期」において、家族を捨てて“遊行者”となったため、と言われています。

 

ガンジーは祖国インドの独立運動を起こし、ノーベル平和賞にも5度ノミネートされています。

※受賞はされていませんが、本人が断ったという話もあるようです

 

そんな、ガンジーですが、プライベートは凄かったようですね・・・

 

上野:“女”が絶えたことないんでしょ?

山折:ほらほら、“女”って言い方は誤解があるから、“ファン”だよ、“ファン”、“女”じゃないんだよ。

上野:“女”ですよ、“女”!。姪と同衾(一緒の布団で寝ること)してたんでしょ?

山折:姪とね。あの同衾も、その最後の一線は守っていた、とガンジーは言っているし。

上野:どっちだって大した違いはないような。

山折:4人の子供がいて、2番目の子供は叛逆者になっているから、その息子はイスラム教徒に改宗して、最後は悲惨な死を遂げるんですよ。それをやっぱり父のガンジーは看なかった、ケアしなかった。そこは、心理的にはものすごい暴力をふるったわけですよ。奥さんに対しても、夫婦の関係を自ら一方的に絶ったからね。これも暴力的と言っていい。

上野:そうですね。考えようによっては自己中そのものですよね。

山折:だけども、インドには人間を徹底的に差別する『カースト制度』があり、その枠組みから自由になれない。“遊行期”に入ってカーストの枠から外に出ることによって、はじめて「個」の人間になれる。そう考えるとガンジーは、家族を捨てて“遊行者”になったことになる。

上野:そうですね、無一物になったんですよね。

 

ブッダも妻子を捨てている・・・

 

ガンジーの成し遂げたことを見れば、自分に対して厳しい方だったと思いますが、ひと(とくに家族)に対しても甘やかさない厳しさがあったのかもしれませんね・・・?

 

どうも、日本男児は、口では「孤独」を勧めながらも、いざと言う時(死期が迫ったときなど)、誰かがそばにいて欲しいという想いが強いのかもしれませんネ!

 

そうかもしれません・・・

 

ありがとうございました!!

m(_ _)m

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2018年4月30日 (月)

「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 七月隆文著 を読んで

こちらが紹介いただいた2冊目となります!

 

先に後輩の感想は、

「最初は「んっ?」ってなるんだけど意味を理解して、もう一度読むと、もう本当に、本当に泣けるから!!絶対読んで!!この人の作品45日に新作「ぼくときみの半径にだけ届く魔法」っていうのが出るんだけど、公式サイトで試し読みしたら、面白そうだった!」

 

20歳の男女の切ない純愛物語!」

“純粋”でとてもよかったのだけど、本ではちょっと泣けませんでしたヨ!そこで、ネット上に映画があったので、それを鑑賞!ラストで泣けました~!!

中高年のおじさんには、無理かな~、と思いましたが、じっくりと最後まで“読む”“観る”しないとですナ!!

 

物語は二人の“パラレルワールト”がベースになります。

南山高寿(みなみやまたかとし)の住む世界と、その恋人となる福寿愛美(ふくじゅ えみ)が住む世界は、“時間”が逆方向に進んでいる。

南山高寿が0歳から40歳まで生きている時間軸に対して、恋人となる福寿愛美は逆方向に40歳から0歳になっている。

そして、福寿愛美の住む世界からのみ南山高寿の住む世界にしか行けなくて、行けるのも5年に1度、その滞在期間は40日間ということでした。

 

ここでは、高寿の時間が進む方向でブログを続けてみますネ!

物語の“伏線”として、高寿5歳、愛美35歳のときに高寿は愛美に命を助けられる。 高寿10歳、愛美30歳のときに愛美は高寿にたこやきをご馳走しながら、二人のデートの写真を箱にいれ、中を見せずに託します。

そして、高寿25歳、愛美15歳のときに高寿は、愛美にお互いが20歳の時の40日間のことについて、話をする。高寿30歳、愛美10歳のときに高寿は愛美の命を助ける。

それぞれ自分の年齢になるまでの過去は知っていても、自分の年齢“後”のことは知らないので、相手が年上である時間軸にいるとき、自分の知らないことについてインプットがある。とくにポイントは、高寿25歳、愛美15歳のとき、そしてお互いが20歳のときも「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」ことになるため、愛美には高寿とのそれまでのデートの記憶が無いことになる。そこで、高寿にとって愛美と会える20歳最後の日(愛美にとっては最初の日)に、それまでの40日間(愛美にとってはこれからの40日間)について詳細に伝えることになる。

 

そこで、クライマックスは、「プロローグ(序章、20歳最初の出会いであり、最後の別れ)」であり、「エピローグ(終章、20歳最後の別れであり、最初の出会い)」となるために、後輩が言うように二度読みが、感動をさらに高めることにもなる。

 

プロローグでは、20歳の高寿が初めて愛美と出会って「一目ぼれしました!」と話しかけて、二人の会話の最後では「また、会える?」と言うわけですが、これは20歳の愛美にとって、高寿と会える最後の日ということで、涙を誘う。

 

エピローグでは、逆に高寿が20歳の愛美に会える最後の日になる。でも、愛美にとっては、これから高寿との40日間が始まる日になる。

愛美「・・・ここがピークなんだね。わたし、これから少しずつあなたの過去に戻っていって、あなたと恋人じゃなくなっていくんだね。・・・・すれ違っていくんだね」

高寿「ぼくたちはすれ違っていない。端と端を結んで輪になって、ひとつにつながってるんだ。二人でひとつの命なんだ」

そして、フラッシュバックで、20歳の高寿が初めて愛美と出会う少し前の時間に戻りプロローグにつながる。

 

映画では、高寿役を福士蒼汰氏、愛美役を小松菜奈氏が演じていて、原作通りの内容で泣かせてくれました!

 

ありがとうございました!

 

追伸、

高寿30歳、愛美10歳のとき、愛美35歳、高寿5歳のとき、が、それぞれの人生において、最後に二人が会うタイミングとなるのですが、30歳からの高寿、35歳からの愛美の方が、まだ長い人生であり、“人生のピーク”は、そこにあるのかもしれない。ふと中高年は思うのでした・・・・

 

Mさん、ありがとう~!! そして、がんばってください!!!

 

自分の薦めた本の感想はコチラです!

「アルジャーノンに花束を」

http://life-insurance2.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-46e1.html

「あん」

http://life-insurance2.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-5e4c.html

映画「あん」

http://life-insurance2.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-ef49.html

映画「あん」の主題歌

https://www.youtube.com/watch?v=P1o306LneLs

「永遠のゼロ」

http://life-insurance2.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-912d.html

 

m(_ _)m

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20歳で会える、高寿最初の日、愛美最後の日
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「あと少し、もう少し」 瀬尾まいこ著 を読んで

二回り以上年下の後輩から薦められて読みましたヨ!

お互いに好きな本を交換したわけですが、その内の1冊目となります!

 

その後輩の感想は、

「これは、もしかしたら若い人向けかもって思うくらいに、わかりやすくて、読みやすくて感動した。さらさらっと読めるから、時間が空いたときとか、ちょっとヒマな時間用。これに出てくる桝井って人がめっちゃいいやつで私はこの人と付き合いたい、てか付き合ってる。」

 

後輩も十分に若いんだけど~! って言いたくなりますが、物語は市野中学校の男子生徒6名が、県大会出場を目指して直向きに“駅伝”に取り組む、中学三年生を中心にしているから、そう言われたのかもしれません。

 

ただ、解説で三浦しおん氏も次のように書かれていますが、登場人物は中学生中心ですが、どの世代にも“共感”が得られる物語だと思いましたヨ!

 

私たちは、だれもが一人だ。けれどその厳然とした事実と同様に、私たちはやはり、一人ではないのだ。一人きりでは到底走り切れないつらい道のりを、駅伝は襷(たすき)を繋げて走り抜く。仲間や周囲の励ましの声を受け、孤独と連帯の狭間で苦闘しながら。

私たちは決して、決して、一人ではない。あなたがだれかを思うとき、だれかがあなたを思っている。必ず。

そう信じて前進する姿は、なんと激しく崇高なのだろう。

もし、そのがむしゃらな姿を嗤うひとがいるとしたら、そのひとは「生きる」ということを知らないのだ。

走る少年たちを、かれらを見守るすべてのひとを、うつくしい山河が取り囲み、育んでいる。

 

登場人物は、

1区:設楽亀吉、内気だけども、桝井と一緒に三年間、部活を一生懸命続けてきた努力家

第2区:不良の大田、中学に入ってからは授業をさぼり、煙草も吸っていたが、実は闘志と感じやすい心を抱えたナイスガイ

第3区:仲田真二郎、お調子者だけど明るくて、誰からも好かれている、みんなから“ジロー”と呼ばれて親しまれている

4区:渡部孝一、クールで理屈っぽく見せていたけど、実は両親が離婚していて、それぞれに好きな人がいたために、引き取られることなく、祖母に育てられてきた。実はとても優しくて、他者の機微に敏感である

5区:唯一の中学2年のレビュラー俊介。部長の桝井に憧れている

6区:桝井日向(ますい ひなた)、小学生の時に野球チームの中での苦い経験を経て、中学生になり、つねに優しく朗らかで、慌てたり、怒ったりしない態度で“部長”をがんばり、選手としても練習に一生懸命

ここに、陸上部顧問を務める美術の上原先生が加わる。運動音痴ではあるけども、ものすごく観察力に優れた導き手となっている。

そんな多様な登場人物が集まって、一つのことに直向きに取り組む。

 

物語の中で、桝井がつぶやく。

小学生の時はいろんなことがそのまま楽しかった。けれど、大きくなるにつれて、少しずつ楽しさの持つ意味が変わってきた。今だって仲間と笑って遊んでいれば楽しい。でも、もっと深い楽しさがあることも知っている。無駄に思えることを積み上げて、ぶつかり合って、苦労して。そうやって、しんどい思いをすればしただけ、あとで得られる楽しさの度合いは大きい。

 

このつぶやきは、大人になって「仕事」にも通じると思いました。「仕事」も仲間と一つになって取り組み、達成感、充実感が得られるとき、深い楽しさを味わえることができるから。

 

中高年になっても楽しめる物語でしたヨ!

Mさん、ありがとうございました~!!!

m(_ _)m

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2018年4月21日 (土)

『羊と鋼の森』 宮下奈都 著 を読んで

文庫化されたことを機に、2016年本屋大賞受賞の本作品を読んでみました!

 

ピアノの調律師、外村の成長物語になります。

著者の宮下さんもピアノを45年以上弾かれているんですネ!ピアノ好きが伝わってきました。

 

ピアノは、「羊」の毛でできたハンマーが「鋼」の弦を叩く。それが音楽、ピアノを奏でることになる。

そして、「森」はピアノの調律で、正しい音、よい音を求めて、さまよう「森」、さらには、人生を生きることそのもののような深く、美しく、常に迷う危険、傷つく危険をはらんだ大きな世界としての「森」。

 

そして、“善い”、“美しい”という文字は「羊」から来ている。

古代の中国では、「羊」が物事の基準だったそうです。神への生贄だった。

”善い“とか”美しい“とか、いつもみんなが執念深く追求しているものが「羊」。最初からピアノの中にいたんだ」

 

物語の中で外村が尊敬する調律師の板鳥に目指す音はなにか、と尋ねる。

すると、板鳥は、小説家 原民喜の言葉を教える。

「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、厳しく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体。原民喜はこんな文体に憧れている。私の理想とする音をそのまま表していると感じました」

 

まさしく、この本「羊と鋼の森」もそれを目指して書かれているな~、と思いましたヨ!

 

そして、外村の先輩調律師のことばもよかったです!

「“才能”があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。一万時間を超えても見えなかった何かが、二万時間をかければ見えるかもしれない。早くに見えることよりも、高く大きく見えることの方が大事なんじゃないか。」

「書き留めるだけじゃ、駄目だ。覚えようとしなきゃ、無理だよ。歴史の年号を覚えるみたいにさ。あるときふっと流れが見えてくる」

 

ありがとうございました~!!!

m(_ _)m

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2018年3月18日 (日)

「ふがいない僕は空を見た」 (窪 美澄著)を読んで

女による女のためのR-18文学大賞作品!

本にもR指定があるんですネ!

 

なお、本作は本屋大賞2位、山本周五郎賞も受賞されています!

 

ここで、山本周五郎賞選評では、

どう生きるか、生きて何をするのか、なんのために生きるのかという賢しさではなく、ただ生きて、ただここに在る。「ただ」の愚かしさと愛おしさとを作者は等分に見つめ、まるごと肯定する。その覚悟に満ちたまなざしの深さと強さに、それこそ、ただただ圧倒されたのである。

 

解説では、重松清氏が、次のことを書かれていた。

男も女も、“やっかいなもの”を体に抱えて、死ぬまで生きなくちゃいけないと思うと、なんか頭がしびれるようにだるくなった。

やっかいなものとは、・・・

直接的には、女の子の場合、生まれた時から卵巣の中にはすでに卵子のもとになる数百万個の原子卵胞が詰まっている。“やっかいなもの”を抱えている。

男の場合は、チンチンになる。

“やっかいなもの”とは「性欲」ということになる。

 

この“やっかいなもの”を自らのうちに抱え込んで死ぬまで生きなくちゃいけないのである。

 

でも、僕たちが生きるこの世界は、生きるに価しないほど最悪なものではない。たぶん。おそらく。きっと。“光”は残っているはず、と。

 

“やっかいなもの”を捨てられずにいるふがいない僕たちは、でも、その光が瞼の裏に残っているうちは、人生や世界について少しだけ優しくなれるような気がする。

 

この物語の登場人物

アニメオタクで妊活中の主婦“あんず”

そのあんずと週に何度かセックスをしている高校一年生の“斉藤くん”

その“斉藤くんの母親”も若い時には不倫を経験、また、旦那は生活力がなく、家を出ている

“あんず”の旦那さんは、マザコンというか母親に頭の上がらない“慶一郎さん”

斉藤君とセックスしたいと思っている同級生の“七奈”

斉藤君とあんずの不倫を学校中にバラしてしまう、同級生の“あくつ”と“福田くん”は貧乏な家庭で、親にも恵まれない家庭に育っている

その貧乏な二人を手助けする仕事ができて頭もよい“田岡さん”はロリコンが高じて逮捕される

まだまだ居るのですが、皆それぞれにそれぞれの形で“やっかいなもの”を抱えながら生きている姿を上手に描いていると思いました!

 

ありがとうございました!

m(_ _)m

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2018年2月18日 (日)

「人生エロエロ」 (みうらじゅん著)を読んで

島倉千代子さんの「人生いろいろ」ではありませんヨ!

「週刊文春」で、みうらじゅん氏が連載しているエッセイの文庫になります!

毎回、エッセイの出だしが「人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた」で始まります!

起きている間はいつもということですネ!

 

みうらじゅん氏、「マイブーム」で流行語大賞を受賞しており、「ゆるキャラ」の命名者であり、仏教にも精通されている方です。今年還暦を迎えられるようですが、“男”のしょうもないところを見事に描いてくれています!

具体的な記載は控えさせていただきますが、気分転換!?にはよいと思います!

 

ありがとうございました!

m(_ _)m

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2018年1月 3日 (水)

「風に舞いあがるビニールシート」 (森絵都 著)を読んで

森絵都さんの直木賞受賞作品になります。

 

さらっと読めてしまいました!

 

短編集になります

・器を探して

・犬の散歩

・守護神

・鐘の音

・ジェネレーションX

・風に舞いあがるビニールシート

 

お正月のテレビで、芸能人が、

「家族」

「友人」

「仕事」

「お金」

「趣味」

「健康」

について、大切な順に順位を付けて、そのトップ3をメンタリストDaigoが当てるという番組がありました。

 

これって、ひとそれぞれ違いますが、一人一人もその時々で違うことがあると思います。

 

※あとがきより

 

「大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語」

 

気分屋なオーナーパティシエに振り回され、恋人の機嫌を損ねながらも秘書としての“仕事”に奔走する「器を探して」の弥生。行き場を無くした犬を自宅で預かり、その里親を探すボランティアの活動費を稼ぐためスナックでアルバイトをしている「犬の散歩」の恵利子。高卒と大卒の生涯賃金の差を知り一念発起し、時間に追われるフリーター生活の傍ら大学の二部に通っている「守護神」の裕介。仏師になるという夢にやぶれ、仏像修復師となった「鐘の音」の潔。雑誌に掲載した商品のクレーム処理のため、謝罪に向かう「ジェネレーションX」の健一の石津。外資系投資銀行から収入の面では大幅にダウンする国連難民高等弁務官事務所の一般職に転職した表題作「風に舞いあがるビニールシート」の里佳と、危険と隣り合わせのフィールドで、獰猛な風に簡単に吹き飛ばされそうな難民たちを救うべく戦い続けるエド。

主人公たちはみな「大切な何か」を抱え、そのために「懸命に生きている」。けれど、彼らの「大切なもの」は一様ではなく、それに気付く過程も、対峙する姿勢も違います。

大切なものは、たったひとつだけではなく、いくつもあって、優先順位をつけるのはとても難しいものです。

本書には、その迷いが、葛藤が、そして決意が、主人公たちが過ごす日常のなかで描かれていて、その遠くて近い彼らの姿に心強さを受けるのです。

 

ありがとうございました!

 

m(_ _)m

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2017年12月30日 (土)

「武曲」 藤沢周著 を読んで

「武曲(むこく)」とは、北斗七星の中の“二連星”。

 

「連星」とは2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体である。双子星とも呼ばれる。連星は、地球から遠距離にあると、一つの恒星と思われ、その後に連星である事が判明する場合もある。この2世紀間の観測で、肉眼で見える恒星の半数以上が連星である可能性が示唆されている。

 

登場人物は、

「殺人刀」の遣い手と懼れられた父・将造との関係でアルコール依存症となった矢田部研吾。

現在は、警備員をしながら、北鎌倉高校で剣道部のコーチを務める。

矢田部研吾は、北鎌倉高校二年生の羽田融に父親と同じ天性の剣士を見た。

 

“二連星”は、将造と研吾、研吾と融になると思います。

 

そして、“剣道”“禅”は関係があり、「山岡鉄舟」のことが書かれていました。

ここで「山岡鉄舟(18361888)」について

江戸末期から明治の剣術家・政治家。江戸の人。通称、鉄太郎。旧幕臣で無刀流剣術の流祖。戊辰戦争の際、勝海舟の使者として西郷隆盛を説き、西郷・勝の会談を実現させて江戸城の無血開城を導いた。明治維新後、明治天皇の侍従などを歴任。

「臨機応変の妙用は,無念無想の底より来る」(西郷隆盛との会見についての述懐)

 

山岡鉄舟は、

【余の剣法や,ひたすら其の技をこれ重んずるに非ざるなり,その心理の極致に悟入せんことを欲するにあるのみ。換言すれば,天道の発源を極め,併せて其の用法を弁ぜんことを願うにあり。猶切言すれば見性悟道なるのみ】と,「剣禅一如」の実境涯に体達し,かく申されております

 

そして、【剣禅一致】とは、今より、約300年前、沢庵(たくあん)和尚の「不動智神妙録」にある語

“剣道”の究極の境地は,“禅”の無念無想の境地と同じであるということ。

 

【剣道は,剣の理法の修錬による人間形成の道である】という剣道理念を作りました。

これで行けば沢庵和尚の『不動智神妙録』もここであり,“剣”も“禅”も同じく人間形成の道であり,剣禅一如であります

 

“剣”を学ぶ者はまず正脈の師について「剣禅一如」の正法を学び,まず正しく楽しい人間個人の形成,更に仲良き人間社会の形成を目的として修行鍛錬あるべしと,山岡先生の老婆心であります。

 【附して言ふ,此法は単に剣法の極意のみならず,人間処世の万事一つも此規定を失すべからず。此呼吸を得て以て軍陣に臨み,之を得て以て大政に参与し,之を得て以て教育宗教に施し,之を得て以て商工農作に従事せば,往くとして善ならざるはなし。是れ余が所謂,剣法の秘は,万物太極の理を究むると云う所以なり。明治151月 山岡鉄太郎誌】

 

「剣道」がしたくなる物語でした!

 

ありがとうございました~!

m(_ _)m

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